大人になるほど見失う感情
気になる言葉に出会った。
外国の人が言った言葉。
冬の北海道の田舎を訪れた時、
彼が発した感想。
「この静けさが、美しい」
「えっ?」と思った。
静けさが美しいって、何?
静けさが心地いい、とか、
静けさが身に染みる、だろう。
美しいという言葉は、
視覚による情報からくるもの。
聴覚からの情報に対して、
なぜ、美しいを使ったのだろう?
頭ではおかしいと思いながら、
何となく納得している自分がいた。
「氷が溶けたら何になりますか?」
と言う問いに対して、
多くの人は「水になる」と答える。
「春になる」と答える人がいる。
思わず、「うまい!」と言いそうになる。
静けさを美しいと言う人。
氷が溶けた結果を
春の訪れと答える人。
理屈ではない。
感性がなせる技なのかもしれない。
そんな言葉に
心が揺さぶられる自分がいる。
感情豊かな子どもの頃を
思い出させてくれた言葉だった。