マイナスがプラスに
水族館プロデューサーの
中村元(なかむらはじめ)さん。
魚への興味も知識も無い飼育員時代の
彼の体験談が面白い。
鳥羽水族館で
団体客に解説するサービスで、
アカウミガメとアオウミガメの違いを
説明するのだが、誰も聞いてくれない。
「『浦島太郎の亀はどれや』と毎回聞かれる。で、みんな笑って答えも聞かず行ってしまう」
調べてみると、浦島太郎の話のように
浜に上がって来るのは
本州ではアカウミガメだけ。
中村:「性別は?」
お客:「産卵のためだから雌じゃ」
中村:「じゃあ雄と雌のみわけかたは?」
お客に次々とクイズ形式で問いかけると、
大喜びで乗ってきた。
お客さんは自分と同じで、
学術めいた生態や分類などには興味がない。
「他の飼育員は、魚に詳しくない人の気持ちなんて分からない。自分が一番お客に近い」
知識の乏しさという『弱点』が、
『武器』に変わった瞬間だったそうだ。
マイナスと思われていたことが、プラスになる。
そうなった要因は、何だろう?
