思考の「視点」と「視野」
一つの事柄に対して、
それがどんな影響を与えるのかを
広く考えられる人と
そうではない人では、
捉え方が全く異なってくる。
だから問題が起こる。
片方でも相手の意見を
受け止めることができなければ、
言葉のキャッチボールはできない。
良好なコミュニケーションが、
できないということである。
25年前の出来事を思い出した。
高校の教員をしていた時の会議での出来事。
主任が、
「もっと補習授業に力を入れて、生徒の学力を伸ばしていきましょう。早朝(7時30分から1時間)の補習を7時から始めましょう。お願いします。」
と突然切り出した。
先生方は賛同する人もいれば、
少々嫌な表情をする人もいたが、
反対意見は出なかった(出せなかった?)
その時、私は意見した。
「30分開始時間を早めると言うことは、家庭でお弁当を作っている人は30分早く起きなければならないということになると思いますが、そんなことを家庭に要求できますか」と。
みんな黙ってしまった。
教員が苦労すればいいということしか
考えなかった意見と、
幅広くどんな影響があるかを
考えた意見では、答えが違ってくる。
思考の「視点」をたくさん持ち、
「視野」を広くすることは、
指導者に必要な能力。
さらに不十分だったことは、
生徒の意見を聞いていないということ。
教員側の一方的な考えで物事を進めようとしていた。
ある人が言った。
「生徒は意見を言わないから」と。
果たしてそうだろうか?
生徒は意見がないのか?
生徒は十分に考える力はあり、意見はある。
言わないのではなく、
『言えない』のかもしれない。
何が言えなくしていたのか?