ほめると叱るは、本質は同じ
アドラー心理学は、
他者とのコミュニケーション全般について、
「ほめてはいけない」
という立場をとるようだ。
ほめるという行為には、
「能力のある人が、能力のない人に下す評価」
という側面が含まれているから。
夕食の準備を
手伝ってくれた子どもに対して、
「お手伝い、えらいわね」と、
ほめる母親がいる。
夫が同じことをした場合には、
「お手伝い、えらいわね」とは
言わない。
ほめる母親は、
無意識のうちに上下関係をつくり、
子どものことを
自分よりも低くみていることになる。
他者をほめたり叱ったりするのは、
「アメを使うか、ムチを使うか」
の違いでしかなく、
背後にある目的は、『操作』。
ほめられたい、
叱られたくないと願うこと。
ほめてやろう、
叱ってやろうとすること。
これらは対人関係を
『縦の関係』
ととらえている証拠。
アドラー心理学では、
あらゆる『縦の関係』を否定し、
すべての対人関係を
『横の関係』とすることを
提唱している。
コーチングでの
クライアントとコーチの
『提携関係』に似ている。
思い当たることがある。
あるセミナーの講師は、
受講生との対話の最後に必ず
「ありがとうございます」という。
さらに受講生たちに、
お互い、お礼を言うことを促す。
お互いが感謝をし合える関係。
アドラー心理学が提唱している
『横の関係』なのかもしれない。
今一度、
『ほめる』ということについて、
考えてみようと思う。